【前編】外航船の機関室にある機器たちを紹介<ディーゼル船編>
原油タンカーから見えた夕陽
2020/4/17更新
今回は、機関士が保守管理している機器たちを紹介したいと思います。
特に、ディーセル船にフォーカスを当ててみていきます。
エンジンの種類
船には、プロペラを回して、推進力を得るためエンジンが必要です。
船の運ぶものや種類、大きさによって搭載するエンジンの大きさが違ってきます。
エンジンの種類には、
ディーゼルエンジン、ガスタービン、蒸気タービン、電気推進、原子力推進
などがあります。
外航商船の場合、ディーゼルエンジン、ガスタービン、蒸気タービンが主になってます。
練習船は現在、全ての船がディーゼルエンジンを搭載して船になっています。
船にあるエンジンの種類によって搭載する機器も異なってきます。
今回は、ディーゼル船に焦点を当てて機器を紹介します。
ディーゼル船の主な機器(1)
<主機>
推進力を得るのにプロペラを回す必要があります。プロペラを回転させるのが主機です。
簡単にいうとまず、シリンダで燃料油と空気を混合させます。
そして、圧縮し爆発させ生まれたシリンダの上下運動を回転運動に変えてプロペラを回します。
この主機が止まってしまうと船が動かなくなってしまうので、機関士たちは毎日状態をチェックします。
<発電機>
「船の明かりやモーターなどの電力はどこから来るのか。」
その電力をまかなうのが発電機です。
ディーゼル発電機、タービン発電機が主になります。
3台から4台の発電機が船に積まれており、船が停電しないように備えます。
停電すると、船が動くのに必要な機器が止まるので、船が制御不能になってしまいます。
もしもの時に備えて非常用発電機が別にあります。
<ボイラー>
船では、お湯を作ったり、粘度の高い燃料を温めたり、船によってはタービン発電機を回したりするのに蒸気を使用します。
その蒸気を作るのがボイラーです。
バーナーで火をたいて、水を温め、蒸気を作ります。
<排ガスエコノマイザ>
変な名前の機器が出てきましたね。
これは、主機の排気ガスの熱を利用して、水を温め、蒸気を作る機器です。
本来捨てるはずの排ガスを熱源として利用して、エコにするのが排ガスエコノマイザです。
<造水器>
船の水ってどうして補給しているのか。
その答えは造水器で海水から水を作っているのです!
海水から清水を作るには、温めて水蒸気にして、それを冷やして作ります。
海水を温める熱源は、主機を冷やして温まった清水を使っています。
飲料水は船で作らず外部から積むことが多いです。
でも一応飲める水が作れていると思います。
<熱交換器(ヒーター、クーラー)>
主機や発電機などを冷やした清水や潤滑油を海水や清水で冷やすのがクーラー。
燃料や清水などを蒸気で温めるのがヒーターです。
合わせて熱交換器といいます。
造水器もこの熱交換器に分類されます。
<空気圧縮機>
主機や発電機を始動させるのに必要な圧縮空気を作るのが空気圧縮機です。
船では、できた圧縮空気は空気槽という大きな入れ物に入れて保管しておきます。
自転車屋さんなんかでタイヤに空気を入れるのに圧縮空気を用いていますよね。
その近くに機械音を響かせながら動いているものも空気圧縮機です。
<油清浄機>
船に積まれる燃料油や潤滑油は汚かったり、使用していくと汚くなったりします。
そんな油は清浄しないと主機や発電機に異常をきたします。
汚い油を清浄する機械を油清浄機と言います。
清浄方法は遠心力を使って、油の中にある水分や汚れ(スラッジ)を飛ばして、きれいにする方法が多いです。
油の方と水分やスラッジの重さが違うので分離できるのです。
まとめ
今回は、ディーゼル船の機器の一部を紹介していきました。
後編では、他の機器について紹介していきたいと思います。
質問やコメントがあればお願いします。
ありがとうございました。